女心の理解を試みる(理解したとは言っていない)
始めて告白するかもしれないが、僕は男である。
つまり女性が考えていること、行動理念を全く理解できない生き物なのである。
この世には(おそらく)女性を理解している男は存在しないと思っている。
その論理はこうである。
まず、この世には、「女心がわかる」と称している生き物と「女心を理解できない」と自白している生き物の2パターンしかいない。
「女心を理解できない」という人は、理解できていないから理解できていないと言うので、理解していない。僕はこれに分類される。
一方「女心がわかる」と言っている奴ほど、理解していない奴しか僕の周りにはいないのである。つまり、彼らも女心を理解していないのである。
という事はこの世には女心を理解できている男は存在しないのである。
QED(証明終了)
という事で、現時点では女心を理解している生き物は存在しないため、人類で初の理解者として世界に僕の名前を轟かせようと、ここ最近の女性の行動を観察していた。
今回はその時のレポートである。
女子会の会計時
僕は基本的に夜はフレンチレストラン、土日祝日の昼はイタリアンレストランで働いているが、良く女子会(のようなもの)が開かれているのを目の当たりにする。
そこでほぼ100パーセントの確立で、男世界では見られない光景を目にする。
それは会計の時である
例えばある日の会計時
4人で「9936円」のお会計だったとき、
彼女らの行動は、まず何よりも先に、財布を出すよりも先に、彗星の速さのごとく、手元にあるスマホを取り出し、電卓をひらくのである。
4人の全員が同じような行動に走り、誰が一番最初にスマホを取り出し、一人当たりの値段を計算するのかを競っている。
このような競技があったのを僕は知らなかった。どこで鍛え上げられたのか、1位に君臨する彼女は、この競技をわずか3秒でやって見せた。
速すぎる。お酒が入っているにも関わらずここまで正確な動きを見せるのは完全に脱帽である。
これまでスマホを早く操作するのは、大学生が朝に目覚ましとしてセットしておいたアラームを止める速さを競う競技に似て非なるものである。
「一人2484円だね」
というチャンピオンからの号令とともに、皆自分の財布を見て小銭を確認している。
僕は男性だろうが女性だろうが、一緒に食事に行った時にはこの光景は一切見受けられなかった。大体誰かが多めに出すか、男が奢るかのどちらかである。
これは女だから、後輩だからというあれではない。ただ単に細かいお金を計算するのが面倒臭いということであるが、彼女らはその手間を惜しまないほどストイックなのである。しかも老若問わず、同じ光景である。
これは全男どもが女心を理解できないのも納得がいく。
この光景を僕が女子とご飯に行ったとしても起こらない状況である。もしかしたら今まで僕が思っていた女子は、実は女子ではないのかもしれない。
しかしながら、「2484円」など都合よく4人が持っているはずがない。結局誰かがまとめて払うことになったようだ。
しかし耳を傾けてみると、何やらまだ計算の話をしている。個の後コンビニでお金を崩すなどと言っている。どこまでストイックなのか?計り知れない。
会話の処理能力が凄まじい
女子会での彼女らのコミュニケーション能力は異常である。僕は理解したためしがない。
彼女らの会話のスピードが速すぎて、どのような会話の流れになっているのか全く理解できないのである。
これも一例を挙げて説明しよう。
今回も女子会である。4名で、年齢は40代後半辺りの方々である。
僕が飲み物の追加の注文をお聞きした時の話である。
僕「お飲み物のお代わりはよろしかったですか?
A「何にしようかな~?」
B「このオーガニックぶどうジュースってのがおいしいよ」
A「そうなんだ!」
僕「では、ぶどうジュースでよろしかったですか?」
A「う~ん、あ、このペリエって何ですか?」
僕「炭酸水です。ガス入りのミネラルウォーターですね」
A「じゃぁ、ブラッドオレンジジュースで!」
どうしてそうなった?
この時の会話を一字一句覚えているくらいの衝撃であった。なので完全に会話を再現している。この会話の流れで間違いはないはずである。
彼女らの会話には何が隠されているのか?
何が見えているのか?
何が理解出来ているのか?
何一つわからない。
この会話を理解出来る男がいるのであれば、ノーベル賞を授与したいくらいである。
会話処理能力のスキルが尋常ではない。どの生物よりも理解力に長けているに違いない。世の中の生き物はこの女性という生き物に、もっと敬意を払うべきである。
きっと自分にストイックなあまり、ここまでの能力を身に着けたのであろう。40代後半にして、ここまでの力を持ってしているのは、魔女としか言いようがない。
もちろん彼女らも、会計の時にはスマホ電卓計算速出し選手権を行っていた。
ストイックな生き方は天井を知らない。
彼女らのストイックさは底が知れない。天井も見えない。
20代の3人が女子会を開いていた時のことである。
3人は突然歌いだしのだ。
まてよと、冷静によくよく考えてみると、同じような光景を何度も見合ことがある、という事に気が付く。
あるときは学校で。あるときは教室で。あるときは道端で。またあるときはカフェで。海外でも歌っている気がする。
そう、彼女らはいつどんな時でも、歌の練習を欠かさないのである。
しかも彼女らは一人でいる時は歌わない。複数人でいる時に歌いだすのである。
これは常にライバルと競い合い、お互いを高め合い、切磋琢磨するからであろう。
彼女らの、その歌声でこの世界を変えていくという意気込みが伝わって来るようである。
ここまでストイックな生き物はいまだかつていたであろうか、いいやいない。
どうしてここまでストイックな生き方をするのか、何を考えているのか、彼女らの目指すところはどこなのか、何を見据えて生きているのか。
謎は深まるばかりであった。
人類が滅亡するまでに、彼女らの心を理解出来る人は現れるのか、疑問しかない。